カメラのフィルムにあたる部分の眼底の網膜の静脈が詰まる病気です。
脳梗塞や心筋梗塞に似た、目の血管の閉塞性疾患です。
閉塞する場所によって「網膜中心静脈閉塞症」と「網膜分枝静脈閉塞症」の2つの種類に別れ、自覚症状は無症状から重度の視力障害まで色々です。
50歳以降の中高年の方に起こりやすい病気で、高血圧、動脈硬化、高脂血症、糖尿病、不整脈、血液疾患などの全身疾患があると発生しやすくなります。
50歳代で2%、80歳代で5%の発生率といわれています。
高血圧、動脈硬化、高脂血症、糖尿病、不整脈など生活習慣病がある方は、自覚症状が無くても眼科専門医による精密眼底検査を受けることをお勧めします。
静脈が詰まると、行き場を失った血液が毛細血管から漏れ出て網膜出血になります。
また、その部の網膜は虚血(酸素不足)になり、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が発生して、網膜の浮腫(黄斑浮腫)や新生血管を起こします。
新生血管が発生すると硝子体出血、網膜剥離、新生血管緑内障などの後遺症が発生します。
出血はいずれ自然と消失しますが、黄斑浮腫が持続すると網膜が萎縮して後遺症として視力障害が残ります。
治療としては黄斑浮腫の治療を行い、視力障害を防ぎます。
また、合併症として硝子体出血、網膜剥離、新生血管緑内障が起こる場合がありますので経過を観察し、それらを発症した場合は早期に治療を行います。
これらの合併症はいずれも発生すると重篤なもののため、合併症の予防と早期治療が重要です。
通常、網膜静脈閉塞症の治療は、レーザー治療と硝子体注射を行います。
眼底の状態を確認するために、散瞳検査(点眼で瞳孔を開いて眼底を調べる検査)を行います。
※散瞳後は数時間見えづらくなりますので、自動車やバイクの運転はできません。
閉塞した箇所や、症状に応じてレーザー治療や硝子体注射を外来で行います。
合併症が認められる場合はそれらの治療も行います。