目薬による治療
基本となる緑内障の治療です。
点眼薬を使用することで眼圧のコントロールを行います。
症状や点眼の効果によって、複数の点眼を使用していただくこともあります。
加藤眼科医院では、「今ある見え方を守る」という考えに基づき、治療の継続を最優先に考えています。
定期的な眼圧測定や視野検査など病気の進行状況の把握と、それに応じた治療が大切です。
仕事が忙しく通院できない、家族の送迎が難しいなど諸事情のために治療が途切れてしまうと症状が進行して視野が狭くなってしまうため、
患者様のライフスタイルに寄り添った治療方法を考えています。
通院しなくとも良いということではありませんが、毎月の通院が難しいという方は一度ご相談ください。
当院ではこのように判断しております。
緑内障は、視神経が障害されて、視野が徐々に狭くなる病気です。
視神経が障害される原因は、眼圧の上昇、視神経の循環障害など、複数の要因があります。
年齢とともに罹患率が上昇し、40歳代で20人に1人、70歳代で10人に1人が発症している病気で、日本には推定500万人以上の緑内障患者がいると言われています。初期段階では自覚症状が無く、約90%の方が病気に気づいていないと言われています。
日本の失明原因の1位(失明原因の約35%)の病気で、注意が必要な病気です。
眼圧は目の硬さのことで、20mmHgまでが正常で、日本人の平均眼圧は10~15mmHgです。
房水は、茶目(虹彩)の根本の毛様体で生産され、角膜・水晶体・硝子体に栄養分を与え、
茶目の根本のフィルターの役割をはたす隅角線維柱帯(シュレム菅)から老廃物を眼外に運び、眼圧を一定に保つ役目があります。
緑内障の中で一番多いタイプです。隅角線維柱帯が目詰まりして房水の流れが悪くなり、眼圧が上がるタイプです。日本人の緑内障の約85%は、このタイプです。
日本人では、眼圧が正常範囲であっても視野が障害される正常眼圧緑内障(開放隅角緑内障の約85%)が多く見られます。初期には自覚症状がなくゆっくり進行するので、気が付いた時は視野が大きく欠損してしまっていることが珍しくありません。
強度近視の方、緑内障の家族歴がある方、糖尿病の方は、このタイプの緑内障になりやすいと言われています。ステロイド剤を使用している方は、緑内障のリスクを高めます。
隅角という房水の排出路が狭くなって流れが悪くなり、眼圧が上昇するタイプです。日本人の緑内障の約15%は、このタイプです。慢性の場合も急性の場合もあります。
急激な眼圧上昇を起こすと(急性緑内障発作)、眼痛や頭痛、視力障害、吐き気、嘔吐などの全身症状を起こします。
遠視眼の高齢者に多く、白内障が進行するとますます注意が必要です。
前視野緑内障 | 緑内障の特徴である視神経乳頭変化や視神経線維の欠損があるものの、視野には影響が出ていない初期段階の緑内障です。 OCTという検査機器(眼底三次元画像解析)の発達で発見できるようになり、この状態の方の約半数の方では視野狭窄が進行し、本格的な緑内障になります。 |
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高眼圧症 | 眼圧が正常範囲を超えて(21mmHg)いるものの、視神経にも視野にも異常が無い状態です。 患者様によって視神経に影響が出る眼圧には差があるので、眼圧が高いからといって全員が緑内障になるわけでは無く、10%程度の方が10年以内に緑内障を発症すると言われています。 |
狭隅角眼(閉塞隅角症) | 隅角が狭いものの、視野には異常が出ていない状態です。 遠視がある高齢女性に多く見られ、白内障が進行すると(水晶体が厚く固くなる影響で)隅角がさらに狭くなり、緑内障を起こす危険があります。 |
開放隅角緑内障では、病気の進行と共に徐々に視野が狭くなります。
一般的に、痛みなどの自覚症状はありません。
一部の緑内障(閉塞隅角緑内障)では、急激に眼圧が上昇して急性の発作を起こすことがあり(急性緑内障発作)、
重度の眼痛や頭痛、視力障害、吐き気、嘔吐などの全身症状を起こします。
初期段階では、視界の一部に見えない部分が発生します。
この時点では、両目がお互いを補い合うので、自覚症状はほとんどありません。
中期の段階では、見えない部分が広がり始めます。
しかし、この段階でも、両目で見え方を補うため、症状に気づかない方が多くいます。
末期段階では、両目で補っても見えない場所が増え、日常生活に支障をきたすようになります。
一度障害された神経を回復させる方法はありません。見えなくなった部分が再び見えるようになることはありません。
今ある視野を守るためにもしっかりと治療していきましょう。
眼圧検査 | 目に空気を当てて測定する方法と、目の表面に直接器具を当てて測定する方法があります。 眼圧は緑内障治療の指標となるため、眼圧検査は緑内障治療において重要な検査です。 眼圧には、日内変動や季節変動があるので、1度の検査だけでは不充分で、定期的に測定して、眼圧の推移をみます。 |
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視野検査 | 中心30度(10度)の網膜感度を測る静的視野検査と、周辺視野の広さを測る動的視野検査があります。 視野を調べることで緑内障の進行状況を把握します。 |
眼底検査 | 眼底三次元画像解析(OCT検査)で視神経乳頭のくぼみの程度や視神経線維層の厚みを確認します。 詳細に眼底の状態が把握できるため、眼圧や視野に異常がまだ無い状態の緑内障(前視野緑内障)を発見することができます。 |
緑内障治療の最大のポイントは早期に発見して早期に治療を開始すると共に、治療を継続して視野の狭窄が今以上に進まない様にすることです。
急性緑内障では、非常に速いペースで病気が進行するので、早急な治療が必要です。
基本となる緑内障の治療です。
点眼薬を使用することで眼圧のコントロールを行います。
症状や点眼の効果によって、複数の点眼を使用していただくこともあります。
原発閉塞隅角緑内障や狭隅角眼の方には、虹彩にレーザーで小さい穴を開けて隅角が閉塞するのを防ぐ予防治療(レーザー虹彩切開術)を行うことがあります。
点眼で眼圧がコントロールない場合は、手術が検討されます。
緑内障の手術はいくつかの種類があり、症状や状態によって実施する手術が異なります。
また、一度手術をすれば完治というわけでは無く、眼圧の測定と治療の継続が必要です。
原発閉塞隅角緑内障や狭隅角眼の方で白内障もある場合は、固く厚く濁った水晶体が原因なので、白内障手術をして(水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズを挿入する)、隅角の閉塞を予防する治療を行います。